シマノ18ステラとダイワ18イグジストどちらが買いか?

はじめに

今年シマノ、ダイワの小型リールのフラッグシップとなる18ステラ(Shimano 18 Stella)と18イグジスト(Daiwa 18 EXIST)がモデルチェンジを迎え、ほぼ同時期に発売されます。これから買おうと考えている方やどういう違いがあるのか理解したい方のためにそれぞれの進化のポイントやスペック比較をしています。また、パシフィコ横浜で開催されたフィッシングショー2018でシマノ18ステラやダイワ18イグジストに実際に触れた感想や、関係者の説明から得た情報などや解説などを元に本当に買いなのはどちらなのかまとめてみました。

進化のポイント

では、シマノ18ステラとダイワ18イグジストの前型モデルに対するそれぞれの進化のポイントを簡潔にまとめてみました。

シマノ 18ステラ


18ステラの進化のポイントは以下の通り主に3点あります。まず最初に防水性能ですが、ダイワのマグシールドほどのインパクトは無いものの内部構造を工夫して防水性能を向上させています。次にギアの強度も材質やサイズを変更することなく、構造を工夫して強度アップしています。そして最大の進化のポイントはステラの特徴でもあるリールを回せば誰でも分かるシルキーで滑らかな巻き心地(スムーズ&サイレント)が更に改善されていることです。

  • 強みであった巻き心地の更なる改善
  • 大幅なギアの強度アップ
  • ダイワのマグシールドに対抗するための防水性能向上

詳細は以下の関連リンクをご確認ください。

ダイワ 18イグジスト


ダイワはこれまでマグシールドの搭載による高い防水性能やデジギヤをコア技術として謳ってきましたが、ダイワ創業60周年を迎える2018年でまさにリールの中心である本体構造のコンセプトを大幅に見直し、ダイワのコア技術の領域を広げることに成功したと思います。その60周年に投入される18イグジストの進化のポイントは、革新的なダイワの小型リールの新基準となるLTコンセプトの採用に伴う、大幅な軽量化と強度の両立です。通常は単純に軽量化してしまうと筐体やギヤの剛性の低下により強度に跳ね返りますが、リール構造のコンセプトを全く一から見直し、モノコック構造とすることで軽量化と強度を高次元で両立させています。

  • モノコック構造採用などによる大幅な軽量化
  • タフデジギア採用による強度向上と巻き心地の改善

スペック比較

同クラスとなる18ステラ 4000XGと18イグジスト LT4000-CXHのスペックを比較します。これは前の記事でもまとめていますが改めてまとめています。

項目 ダイワ18イグジスト LT4000-CXH シマノ18ステラ 4000XG
巻き取り長さ(cm/ハンドル1回転) / Line per handle turn 99cm 95cm
ギヤ比 / gear ratio 6.2 7.0
自重 / Wt. 205g 255g
最大ドラグ力 / Drag max. 10kg 11kg
標準糸巻き量 / Line cap. Nyron 10-190/12-150/14-130 3.5-170/4-150/5-125
PE 1.2-310/1.5-200/2-170 1.5-320/ 2-240
ベアリング / Bearing 12/1 12/1
ハンドルアーム長さ / Handle arm length 60mm 57mm
本体価格 / Price 72,000円 83,000円
表1 シマノ18ステラ 4000XGとダイワ18イグジスト LT4000-CXHの比較

注目ポイントは重量です。50gも18ステラより軽いです。今回のLTコンセプトの中核技術の一つであるモノコックボディ採用やザイオンエアローター、極薄スプールなどによりこれだけの軽量化を実現しています。前型の15イグジストに対しても30g軽量化されていることになります。驚異的な軽量化です。

採用テクノロジー比較

では次にシマノ18ステラとダイワ18イグジストに採用されるテクノロジーについてみていきます。横に関係する性能を並べており、テクノロジーに関連する性能に●をつけています。ピンク色のセルは前型に対して初採用となるテクノロジーです。

メーカー テクノロジー 軽量化 巻き心地 強度・耐久性 防水性 飛距離 使い勝手・心地
シマノ
18ステラ
マイクロモジュールギヤⅡ
サイレントドライブ
HAGANEボディ
HAGANEギア
NEW低摩擦ローラークラッチ
ロングストロークスプール
Xプロテクト
X-SHIP
Gフリーボディ
リジッドサポートドラグ
S A-RB
ワンピースベール
海水OK(高性能ベアリング)
ダイワ
18イグジスト
マグシールド
モノコックボディ
極薄スプール
ZAIONエアローター
タフデジギヤ
マシンカットハンドル
ロングキャストABS
ATD
新設計防水ストッパー
シームレス形状エアベール
2BBラインローラー
ツイストバスターⅡ
表2 シマノ18ステラとダイワ18イグジストの採用テクノロジー比較

シマノ18ステラ

マイクロモジュールギアⅡ初採用



引用元:シマノ HP

ジャパンフィッシングショーで確認しましたが、今回の変更は歯面の最適化のみで実現しているようです。追加の加工工程を施すことで歯面を理想形状(インボリュート形状)に近づけ、ギアが噛み合った際の振動を低減することによりなめらかさを実現しています。もう少し突っ込んだ質問もしていましたが、これ以上は教えられないとのことでした^^;

サイレントドライブ初採用


引用元:シマノ HP

予想通り内部部品間のクリアランスやガタを詰めることをしているようです。具体的にはドライブギア、ウォームシャフト、ウォームシャフトピン、ウォームシャフトギアなどの部品間のガタ、隙間、揺れを徹底的に排除して新たな次元の滑らかな回転性能や静粛性を伴う巻き心地を実現する技術です。

HAGANEギアツインパワーXD採用技術と推定



引用元:シマノ HP

素材やギヤのサイズを変更することなくギアの強度をアップしています。具体的な方法は書かれていないですが、ギヤ形状の変更による強度アップやギア支持剛性を向上させ、ギア歯あたりの改善による歯面入力低減などが考えられます。

XプロテクトツインパワーXD採用技術



引用元:シマノ HP

ラインローラー部とボディのローラークラッチ部に撥水効果とラビリンス構造を採用することで巻き心地(回転の軽さ)を損なうことなく、水圧にも耐える防水性能を実現しています。

NEW 低摩擦ローラークラッチ初採用


引用元:シマノ HP

低摩擦でコンパクトなローラークラッチを搭載し、従来モデル以上の軽い回転を実現

ダイワ 18イグジスト

モノコックボディ初採用、基本コンセプトは大きな番手で採用済


リールボディのデザインコンセプトを見直すモノコック構造は、これまでの数倍の加工時間をかけてワンピースで本体を作ることで従来本体部品同士の締結に使っていた全てのビスを廃止することができ、その分剛性・強度が向上します。その結果、ボディのギリギリまで大径ギヤを採用することが可能となりギア強度がアップします。そしてつまりこれまでと従来モデルと同サイズのギヤサイズであればボディを小さくできるということです。小さいボディでもワンピース構造で剛性・強度が上がるので、その分肉抜きが実現できます。

極薄スプール初採用

ブランキング加工前提であれば肉厚になるスプールの設計思想を見直して、ブランキング加工をやめてスプールを極薄化して極限まで軽量化しています。

タフデジギヤ初採用



引用元:シマノ HP

今回確認したところではドライブギヤの肉厚や歯幅がアップしています。ギヤを見直すことでギヤの強度を向上させています。また、説明を聞く限りではトルクがかかったときにギヤの歯同士がかみ合っている部分の歯が倒れますが、その倒れを考慮して常に最適なかみ合いを実現して強度に対しても有利に働くようにしているということです。さらに今回は従来行っていた冷間鍛造の工程に加えて、機械加工(マシンカット)を工程を追加して最適な歯の形状に近づくようにしています。その結果、ギヤの強度だけではなく、ギヤかみ合い時に生じる振動を低減でき巻き心地も良くなります。シマノ18ステラのマイクロモジュールギアⅡと同じコンセプトでしょうか。

ロングキャストABS初採用

ライン放出時のスプールとの接点の位置と大きさを改良し、トラブルレスかつ抜けるようなキャストフィールと史上最長の飛距離をもたらすことができます。

実際に触った感想

フィッシングショー2018で実際に触った感想は、まず18ステラについては、外観デザインは個人的には好みですが、進化のポイントの一つである巻き心地に関しては無負荷での回転のせいなのか、現行から大幅に良くなったという感じは特にありませんでした。一方、18イグジストについてはリールを持ってみるととにかく軽い。巻き心地も無負荷という条件ですが、比較的スムーズでした。気になる方は実際に触ってみる事をおすすめします。

シマノ18ステラ分解

まとめ

買うならば、断然ダイワ18イグジストです。性能的に見ると軽量化が最大の買いのポイントです。軽量化することで釣行時の疲労軽減はもちろんですが、ロッドの振り抜けや手元に伝わる感度が良くなると思います。スペック的にはそうなのですが、今回の評価ポイントは個人的にはもう少しものづくりの視点で評価しています。具体的には、18ステラは従来のリールのコンセプトの延長線上ですが、ダイワは本気でリールの作り方の概念を変えてきており、その点について高く評価したいと思います。リールを持った瞬間に「軽い」とアングラーに思わせてくれるほどの軽量化ができています。もともと250g程度の重量しかないリールを50gも軽量化するのはリールの作り方のコンセプト、つまり設計の常識を変えなければできません。これはものづくりの原点に立ち返って初めて実現できることだ思います。

私もモノづくりに携わっていますが、今までの設計の常識を見直すというのは簡単に見えてなかなかできるものではありません。見習うべき点でもあります。ダイワのこのモノづくりの原点に立ち返ってLTコンセプトを体現した18イグジストをおすすめしたいと思います。

今後ソルティガにもモノコックボディが採用され大幅に軽量化されれば、ショアジギングやオフショアジギングする上でも非常にアングラーにとってもメリットは大きいと思います。確実に買いですね。一方、シマノ ・ダイワの両者が切磋琢磨しなければより良くならないので、シマノも応援したいですね。

ダイワ18イグジスト ラインナップ

ダイワ 18イグジスト FC LT2000S-P
ダイワ 18イグジスト FC LT2000S-H
ダイワ 18イグジスト FC LT2500S-CXH
ダイワ 18イグジスト LT3000S-C
ダイワ 18イグジスト LT3000-XH
ダイワ 18イグジスト LT3000S-CXH
ダイワ 18イグジスト LT4000-CXH

1 Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です